CB400 SUPER FOUR に乗っていて、フロントの動きにこんな感覚はありませんか。
- 低速で、フロントの接地感が希薄に感じる
- 走り出しの小さな段差で、フワッと沈む
- ブレーキをかけると、途中から急に突っ張る
- どこで支えられているのか、手応えがはっきりしない
- プリロードをいじってみたが、しっくりこない
これはライダーの乗り方の問題でも、フォークが傷んでいるからでもありません。純正フォークスプリングの特性そのものから来ています。
そして、スプリングを交換するだけで解決できます。当社で実際に施工し、確認しています。
CB400SFの純正フォークスプリングはダブルレートです
CB400SF/SBの純正フロントフォークスプリングには、**ダブルレート(2段バネ、プログレッシブスプリング)**が使われています。
スプリングを見ると、巻きの間隔が場所によって違うのが分かります。密に巻かれた部分と、粗く巻かれた部分があります。
沈み始めは、密な部分が先にたわむため柔らかく動きます。そして密な部分が縮み切って隣り合う巻き同士が接触すると、そこから先は粗い部分だけがバネとして働くため、急に硬くなります。
一本のスプリングで、柔らかい領域と硬い領域を両立させる設計です。小さな段差では柔らかく、大きな入力では踏ん張る。考え方としては合理的で、多くの量産車に採用されています。
低速域で接地感がなくなる理由
ここが最も重要な部分です。
サスペンションのバネは、タイヤを路面に押し付けるという仕事をしています。バネが伸びようとする力が、そのままタイヤを路面へ押し当てる力になります。
低速走行時、フロントに大きな荷重はかかりません。つまりストロークの浅い領域しか使いません。
ダブルレートの場合、その浅い領域が柔らかい部分にあたります。バネの力が弱いということは、タイヤを押し付ける力も弱いということです。
その結果、タイヤが路面をとらえている感覚が伝わってきません。フロントが頼りない、接地感が希薄、といった感覚の正体はこれです。
低速だから感じにくいのではなく、低速だからこそ弱い領域を使っていて、感じられないのです。
ブレーキで扱いにくくなる理由
ブレーキをかけると、荷重が前に移ってフロントフォークが沈みます。
ダブルレートの場合、この過程でバネの性格が途中で切り替わります。
- 握り始め → 柔らかい領域。支えが弱く、スッと沈む
- 握り込んだ先 → 硬い領域。急に突っ張る
レバーを握る力に対して、タイヤを押し付ける力が比例して増えていきません。途中で急変します。
これが「ブレーキのコントロールがしづらい」という感覚につながります。どこまで握ればどれだけ効くのかが、体で予測できません。
プリロードでは解決しません
ここで多くの方が試すのがプリロード調整です。まず手を出す場所としては自然です。
しかし、うまくいきません。
プリロードはスプリングをあらかじめ縮めておく調整で、バネの性格そのものは変えません。
サスペンションのバネの特性は、線で表せます。横軸に沈んだ量、縦軸にそれを支える力を取ると、スプリングごとに一本の線が引けます。シングルレートなら直線、ダブルレートなら途中で急に立ち上がる折れ線です。
プリロードを変えても、この線の形は変わりません。線のどこを使うかがずれるだけです。
そして、ずれるのは線全体です。
- 締める → 初期の支えは増えるが、急に立ち上がる点も一緒に手前へ来る。突っ張りが早くなる
- 緩める → 突っ張りは遠のくが、初期が沈みすぎる
**ちょっと足りない、行き過ぎる。**その繰り返しで、いつまでも狙ったところに届きません。
「一点だけ合わせる」でも意味がありません
理屈の上では、プリロードを強く締めて、欲しい支えの量にどこか一点で一致させることはできます。
しかし、それでは解決になりません。サスペンションは一点で使うものではないからです。
バイクは常に動いています。ブレーキで沈み、ギャップで縮み、加速で戻る。ライダーが使っているのは点ではなく、ストロークのある区間です。
一点で合わせても、その手前はまだ柔らかすぎ、その先は急に硬すぎる。区間の中でタイヤを押し付ける力が何倍にも変わってしまいます。
さらに、プリロードを強く締めれば1G沈下量が減り、伸び側に使えるストロークが失われます。路面が凹んだときにタイヤが追従できず、かえって接地を失います。車高やキャスターまで変わってしまいます。
減衰調整でも解決しません
減衰は、動く速さに対する抵抗です。タイヤを押し付ける力そのものではありません。
沈む速さを遅らせることはできますが、バネが持っていない支え方を、減衰で作り出すことはできません。
線の形が合っていないなら、線を引き直すしかないのです。
解決策:シングルレートスプリングへの交換
シングルレートスプリングは、全ストロークを通してレートが一定です。巻きの間隔が均一で、沈んだ量に比例して反力が増えていきます。
線が直線であるということは、傾きを選べるということです。
車両重量、ライダーの体重、主な使い方から必要なレートを決め、使う区間全体が狙った支え方になる傾きを選ぶ。一点を合わせるのではなく、区間ごと合わせにいきます。
実際に交換し、試乗して確認しました
お客様のCB400SFに、シングルレートスプリングを組んで施工しました。納車前の確認として、施工者自身が試乗しています。
低速域の接地感が、はっきりと変わりました。
浅いストロークの領域でもタイヤを路面に押し付ける力が確保されているため、フロントが路面をとらえている感覚が明確に伝わってきます。街中を流している速度域でも、違いが分かります。
ブレーキのコントロール性も向上しました。
握り始めから握り込んだ先まで、タイヤを押し付ける力が一定の割合で増えていきます。途中で急変しないので、どこまで握ればどうなるかが予測できます。狙った場所で狙った量だけ減速させられる、という状態です。
派手に速くなるわけではありません。思った通りに動くようになる、という変化です。
そして、ここから先はプリロードが本来の役割を果たします。線が正しい傾きで引けていれば、プリロードはサグを整えるための微調整として、意味のある操作になります。
スプリング交換のみでも承ります
フォークオーバーホールと同時でなくても、スプリング交換だけのご依頼を承っています。
ただし作業には、フォークの分解が必要です。純正スプリングとは長さが異なるため、純正カラーの切り詰め加工を行って全長を合わせます。この工程があるため、現物をお預かりしての作業となります。
お預かりの方法は、以下のいずれでも対応できます。
- フロントフォーク単体 ─ 車両から外して送っていただく形です。全国から宅配便で承っています
- 車両ごと ─ 脱着を含めてお任せいただく形です。状況に応じてご相談ください
オーバーホールと同時が最も効率的です
すでにオーバーホールをご検討中であれば、同時施工が最も無駄がありません。分解の工程が一度で済みます。
あとから思い立って交換する場合、もう一度分解する手間がかかります。またオーバーホールを同時に行えば、フォークオイルも新しくなるため、バネと減衰の両方が整った状態になります。
実際に施工して効果を確認した立場として、CB400SFのフォークを開けるのであれば、スプリング交換は行う価値があると考えています。
NC31・NC39・NC42すべて対応します
CB400SF/SBは世代を通じてフロントフォークの構成が共通しており、NC31・NC39・NC42のいずれにも対応できます。年式を問わずご相談ください。
料金
| 作業内容 | 料金(税別) |
|---|---|
| フォークスプリング交換(左右2本1セット) | 20,000円 |
フロントフォークのオーバーホールに、20,000円を追加していただくだけで施工できます。
ご依頼時に、ライダーの体重と主な使い方をお伺いします。スプリングレートを決めるために必要な情報です。作業内容により金額は変動しますので、目安としてお考えください。
全国から宅配便でお預かりしています
フロントフォークは車両から外して送っていただければ作業できます。北海道から沖縄まで、全国からご依頼いただいています。
現車確認が不要なため、お住まいの地域を問わずご相談いただけます。車両ごとのお預かりについても、状況に応じてご相談を承ります。
ご依頼・ご相談は info@hiiragi-tech.app までどうぞ。