アプリリア RS125(2008年式)のフロントフォークに、FG Gubellini のカートリッジキット「Stealth」を装着しました。
装着車のマルゾッキ製Φ40フロントフォークは、そのままではカートリッジを組み込めない構造でした。インナーチューブへの加工を伴う、大がかりな施工になっています。
カートリッジキットとは
純正のフロントフォークには、簡易的な減衰機構しか持たないものがあります。調整ができない、あるいは調整幅が狭いタイプです。
カートリッジキットは、フォークの中に本格的な減衰ユニットを後付けする製品です。フォークの外側はそのままに、中身だけを上位のものへ入れ替えるという考え方になります。
FG Gubellini「Stealth」の特徴
今回使用した Stealth は、純正フロントフォークをアップグレードするためのカートリッジキットです。
左右のフォークで、伸び側と圧側を独立させています。
片方のフォークが伸び側の減衰を、もう片方が圧側の減衰を受け持つ構成です。一本のフォークで両方をまかなう場合と比べ、それぞれの機構に十分な容量を割けます。調整も、互いに干渉しにくくなります。
加えて、プリロード調整も可能です。
純正では触れなかった部分に手が届くようになる。これがカートリッジキットを入れる意味です。
装着できない構造でした
今回のRS125に装着されていたのは、マルゾッキ製のΦ40フロントフォークです。
分解して構造を確認したところ、そのままではカートリッジを取り付けられないことが分かりました。
理由は、インナーチューブとブラケットの固定方法にあります。
インナーチューブはブラケットに圧入されており、さらにボルトでも固定されています。そしてインナーチューブの端は、塞がっています。
両端の開いた筒ではなく、底のあるコップのような形だとお考えください。
カートリッジは、フォークの底側から固定する必要があります。しかし底が塞がっていれば、固定するための通り道がありません。構造上、後付けを想定していない作りです。
これは設計の欠陥ではありません。純正の機構で完結させる前提の設計であれば、そうなります。
加工して、取り付けられる状態を作る
そこで、インナーチューブ自体に加工を施しました。
- ブラケットを取り外す(圧入のため、慎重な作業が必要です)
- インナーチューブの底部を貫通させる
- カートリッジを固定するためのねじを切る
- カートリッジを組み付ける
- 漏れの確認
塞がっていた底を開け、固定できる状態を作る。文字にすると数行ですが、フォークの機能を損なわずに行う必要があります。
寸法が狂えば、オイルが漏れます。ねじの精度が出なければ、カートリッジが正しく固定されません。やり直しのきかない加工です。
インナーチューブは再メッキしました
分解時、インナーチューブの表面に傷が確認されました。
インナーチューブはオイルシールの内側を毎ストローク行き来しています。表面に傷があると、そこからシールを傷め、オイル漏れにつながります。
今回は再メッキで対応しました。メッキを剥がして下地から作り直し、あらためてメッキを施す工程です。表面を作り直すことで、シールが正しく当たる状態に戻しています。
加工と再メッキの両方を行ったことで、このフォークは機能面でも外観面でも新しい状態になりました。
施工内容
- ブラケット脱着
- インナーチューブ再メッキ
- インナーチューブ加工(貫通・ねじ切り)
- FG Gubellini カートリッジキット「Stealth」取り付け
- オイル充填・組み付け
- 漏れ確認・作動確認
この加工で得られたもの
減衰が調整できるようになったこと。それだけではありません。
今後、内部の変更やスプリング交換が容易になりました。
カートリッジが入ったということは、そのカートリッジを開けてセッティングを詰められるということです。シムの構成を変える、スプリングレートを変える。こうした調整が、通常のフォークと同じ手順で行えます。
これまでは「純正の機構のまま使う」しかなかったフォークが、手を入れ続けられるフォークになりました。
RS125という車両を考えると、この意味は大きいと思います。すでに生産が終わり、台数も限られる車両です。長く乗り続けることを前提にするなら、足回りに手を入れ続けられる状態を作っておく価値があります。
非常に珍しい車両が、さらに価値のあるものになったと感じています。
料金
今回の施工は、220,000円でした。送料・税別です。
これに加えて、カートリッジキット本体および交換部品の代金が必要になります。
加工を伴う施工のため、フォークの構造によって内容も金額も変わります。お使いの車両について、まずはご相談ください。
FG Gubellini について
FG Gubellini は、イタリア・ボローニャ近郊のメディチーナに拠点を置くサスペンションメーカーです。フロントフォーク用カートリッジキットからリアショックまでを自社で設計・製造しています。
当社はFG Gubellini の日本正規販売店・サービス拠点です。新品の販売から取り付け、その後のオーバーホールまで同じ窓口で承ります。
全国から宅配便でお預かりしています
フロントフォークは車両から外して送っていただければ作業できます。北海道から沖縄まで、全国からご依頼いただいています。
現車確認が不要なため、お住まいの地域を問わずご相談いただけます。
ご依頼・ご相談は info@hiiragi-tech.app までどうぞ。